お知らせ

「峨駒の古典的スピーカーの調べ」は”木下惠介記念館”で行っております。
こちらのブログは技術的な記事に限定して書いておりますので、以後、イベントのお知らせはこちらのページにて行います。古典的スピーカー+墨汁抵抗+ECMフォノピックアップ

当ブログは作者「峨駒」のオーディオ技術メモです。
主な内容

2012年9月23日日曜日

振動膜ピックアップ改め、ハイブリッドピックアップ(ECMフォノピックアップ)

前回に引き続きエレクトレットコンデンサマイクを使ったアナログレコードピックアップ(自作カートリッジ)です。


当初、空気を振動させるために膜のような薄い素材を使っていました。
そのため、振動膜式ピックアップと名づけましたが、ピストンやバルブのような形状、カンチレバーを板状にしてパイプの入り口を塞ぐ形状など、だんだん変更していき、振動膜という名称が適当ではなくなってきました。
そこで、今回新しい名称を考えました。

その名もハイブリッドアナログレコードピックアップです。

というのも、アコースティックとエレクトリックの両方の要素を使って音を再生するからです。

なお、ハイブリッドアナログレコードピックアップだけでは検索で飛び込んできた方とかクローラーロボットに分からないので、
めんどくさいですが、毎回ハイブリッドアナログピックアップ(自作カートリッジ)と書きます。





こちらが最新のモデルです。
パイプは3ミリ径で0,1ミリのステンレス板を丸めて作っています。
竹のパイプも良いですが、グリスを塗って時間が経つと竹に引かれてちょう度が高くなります。
ちょう度が高いと中高音が極端にへこみます。
ちょう度に影響を与えないためと、たとえちょう度が上がっても、ステンレスの型打ち器のようにグリスを切ることが出来、影響が少ないためです。

スタイラスは針金です。竹のスタイラスは切り方によっては良いのですが、不安定で切り失敗も多く、こちらのほうが無難です。
カンチレバー兼振動板は竹です。スタイラスと振動板はユニットごと交換できますので、いろいろな厚みの振動板を試すことが出来ます。
マイクは接着するだけですので、どのタイプでも聴けます。
現在は[WM-61A] を付けて聴いています。



12年10月1日




新作の写真です。
竹が縦や横に異様に長いのは、振動を溜め込むためのものです。
振動を溜め込んでエコーがかかっています。ちょっとやりすぎた感じもありますが、適度にやればバイオリンなどは気持ちいいと思います。

振動をためると言うことは、素材の持つ音が誇張されると言うことでもあります。
そもそも、レコードの塩ビにも相当なエネルギーが溜まっている訳です。
音を溜める仕組みは奥が深そうです。



12年10月7日




もう一本作りました。
といいますか、前作を壊して作り変えています。(パーツもほとんど使い回しています)
ですので以前作った、あれを聴きたいと思ってももうありませんので、ご了承ください。

今回のは、ほとんど目新しい仕組みはありませんで、左右が逆になっただけです。向かって右側に指掛けがあるのでそのほうが重心が真ん中に来るとうい理由です。

この作品に限らず竹アームは中音域が魅力なのですが、膨張しすぎて抑えきれない場合がよくあります。そんな場合は写真のようにスポンジを挟むのが一番手っ取り早い方法です。
本当はスポンジなんか使いたくないですが、まあ、結果的に出てくる音が良ければ、安っぽい外観でも受け入れられるというものです。

で、いろいろ作りましたが本質的な音のキャラクターは変わりません。一本筋が通っている感じがします。だんだん耳が疲れてきました。
どうしても、とっかえひっかえ聴いていると、普通の音がつまらなく感じてきて、ゲテモノが良く思えたりするものです。そういう時は素直にしばらく離れるのが得策です。

2012年8月15日水曜日

コンデンサマイクのピックアップ(ECMフォノピックアップ)






これはコンデンサマイクを使った振動膜式の電気ピックアップです。
皆さん見たこと無いと思います。多分作っている人はいないでしょう。

針先の作り出した力は電磁誘導に使うのではなく、まずは膜を揺らし、空気を揺らします。
そしてコンデンサマイクの膜を揺らします。直接コンデンサの膜を揺らしたほうがダイレクトな音がしそうですが、なにせ膜と固定電極の間は数十ミクロンです。うまくいかないでしょう。

空気を挟んでタンデム駆動のような感じですが、しっかり密閉すれば空気バネがきいてかなり低音まで再生することが出来ます。
密閉はオイルやグリスを使います。接着剤を流し込んでも良いですが、取り替えることも考えるとこのほうがいいです。
振動膜は素材によって音が違いますので、いろいろ試したほうがよさそうです。





振動膜を音溝と平行させても、直角にしても作動は同じです。
少しかかる力が違いますので、支持の仕方も変わってきます。現状、音に大きな違いは出ていませんが、今後の検証材料です。(支持の仕方は音に大きく影響します)



12年9月2日、追記


写真は、マイクとそれに合わせたピックアップです。
左が6ミリ、(SG6027)右は9,4ミリ (KUC3523-040245)です。
大きくても小さくてもそれほど変わりはありませんが、振動膜に同じ素材を使うのであれば、当然小さいほうが高域寄りになります。
振動膜の面積をマイクの膜よりも大きくしたり小さくすることも可能です。
おそらく、油圧のシリンダーと同じで、ピストンの面積が二倍ならストロークは半分、力は2分の1に、ピストンの面積が半分なら、ストロークが2倍、力が2倍になるということでしょうね。
コンプレッションドライバーも同じ原理ですかね。
うまくやればマイクの許容いっぱいまで入力することが出来ると思います。
現状でもかなり大きい電圧を発電しています。





竹ロングアームにつけてみました。
このアームは全体に細身で軽量に出来ています。
先端にはピックアップユニット(6ミリ)を挟んで使います。
吊り下げ式でウエイトは石、
そのほかの構造は以前の竹アームと変わりありません。
針圧は1,5グラムくらいです。


12年9月9日 追記



振動膜の素材、構造による音の違い。

振動膜には今までトレーシングペーパーを使ってきました。
特に9,4ミリのユニットは相性が良かったように思います。蓄音機のように人間の声の周波数帯域が特に盛り上がっていて、ボーカルやナレーションには、独特の説得力があったと思います。
ただし、大音量の部分は割れたりひずんだり、大規模なオーケストラはもごもごして聴きにくかったりという欠点はありました。
写真では、上に並んでいるのがそれです。

次に下の段です。
これは6ミリユニット用で、こちらはトレーシングペーパーでは高域に寄りすぎてしまう傾向がありました。特に一番左は支点に蝶つがいを採用したものですが、キンキンきつい音で基音はほとんど失われてしまい失敗でした。

次に考えたものが、左から2番目、真ん中は0,1ミリ厚の銅板を使い、エッジは0,5ミリほどで、隙間には薄めた木工ボンドを流し込みます。表面張力でエッジが塞がり、その後乾くと非常に薄い樹脂の膜になります。
このユニットの音は、トレーシングペーパーのユニットに比べるとワイドレンジです。
分割振動しにくいため、歪も少ないのが特徴です。
振動板(振動膜)が硬くてエッジが薄いほど現代的な音になっていきます。聴きやすいですけど、大ハマリとは感じません。感度はペーパーのユニットよりも高めです。

次が、真ん中の銅板はそのままで、隙間をグリスで塞いだものです。
このユニットの感度は抜群に高くて、我が家のゲインの低いアンプで気違いみたいにでかい音がでます。どうも許容入力音圧を超えてしまっているようです。すごいですね、こんな小さなものが電車の騒音みたいな音を出せるんですから。
かなり不安定な再生で、アームの能力によっても音がだいぶ違ってきます。
まだ音質をコメントするレベルではありません。

一番右
感度が高いことは悪いことではありません。
それだけロスが少ないということですから。ただマイクユニットの許容を超えてしまっては困ります。
感度を下げるのに方法は幾つかありますが、振動板自体を小さくして距離と力の運動エネルギーを変える事で対処してみましょう。直径5ミリの振動板を直径2.5ミリにすると、マイクユニットの振動膜の振幅幅は4分の1になるはずです。
結果、写真のような直接マイクの穴をバルブのように塞ぐタイプになりました。
音圧は計算通り下がりました。再生は相変わらず不安定で、力強くはあるものの、まともに聴くには難儀しそうです。


12年 9月14日 追記




マイクユニット  [WM-61A]    [C9767BB422LFP] を秋月電子さんで買ってみました。

ユニットでどの位音が違うか検証しようと思って写真のようなものを作りました。
先端は肉厚の竹に2ミリ径のパイプを作り、音圧を送り込みます。
左にはマイクユニットを貼り付けて使います。

ただ、検証はまだ出来ませんでした。

[C9767BB422LFP]はめちゃくちゃ感度が高いくて、現状のピックアップでは低音がクリップしまくりで、聴けません。
[WM-61A] も前者ほどではないですが、やはり感度が高すぎたようです。
[SG6027]はちょうど良いです。と言いますか、最初にあったこのユニットにあわせて作ったものです。

要するに、通常広い空間の音を拾うのには、わずかな感度の差であっても、密閉されていて圧力の逃げ場がないこの使い方では、大きな感度の差が出るわけですね。
振動板が空気を押し、マイクユニットの膜がそれを受ける、そして次の瞬間には逆のことが起こります。このように両者は互いに作用しています。
つまり、同じ振動板(振動膜)のピックアップにマイクを付け替えて音を検証するのは難しいことがわかりました。




写真はカンチレバーに竹を採用したものです。
支持はアーム本体の竹を少し割って、そこに薄く割いたカンチレバーを差し込むだけです。
この竹がパイプの入り口をふさぎますので、振動板も兼任しています。
素直な音でなかなかいいです。構造が簡単なほどいいですね、やっぱり。

他は未検証です。



こちらはスタイラスまで竹です。
こちらはさらに低音が張り出していますので、フォノアンプよりマイクアンプのほうが良いです。
フォノアンプではかなり容量の小さいコンデンサを挟んでも、低音がゴゴゴゴと発振したようになります。

残念ながらターンテーブルが役不足のようです。
受け軸の転がる音と糸のすれる音が耳に付きます。

現在、紙ターンテーブルを使っていますが、ずっと長い間使う予定ではないので問題ないです。
アンプも専用のものを作れば問題なさそうです。といいますか、以前からRIAAイコライジングを通してからさらに低域をカットするのでは二度手間だと思っていました。ある程度物理的要素が確定してから、専用のイコライジングアンプを作ろうと思っております。

今のところまだアンプ部分をいじるより、振動子と空気室、密閉材などの物理的要素をしっかり検証しようと思います。なぜなら±10dBなんて物理的要素でころころ変わるからです。



2012年6月16日土曜日

スタイラスの色々



*これらのスタイラスは音溝にそれなりの負担が発生します。希少盤は絶対に再生しないでください。


針金スタイラス


スタイラスはいろいろな形状のものがありますが、これが一番シンプルで良いように思います。
任意の太さの針金をペンチかニッパーでぶつんと切るだけです。ペンチやニッパーで針金を切ると図のように山形になりますので、それを45度に傾けて音溝をなぞるようにします。
真鍮、銅、ステンレス、ピアノ線いずれも特徴はありますがトレースできます。



2012年9月
追記

竹スタイラス


下の写真は竹のスタイラスです。
薄く削ぐことでトレースできますが、針金ほど安定はしていません。
切り失敗が多いです。切り失敗で音溝を2本同時にトレースすることもよくあり、復唱になることも。





当初、針金の断面を進行方向と逆に向けていましたが、断面を進行方向に向けたほうが、高音までしっかり再生できるようです。
ただし、この方法は一歩間違えると音溝を壊します。
ナイフを突き立てているようなものですから。

切り角度と針金自体の角度、カンチレバーの角度も重要です。
図は左から90度に切ったもの、70度と120度くらいに切ったときのイメージです。

上の段はレコードにあてる角度、真ん中は音溝に入る部分の形を上から見た図(想像図)
実際にそうなっているかは肉眼では確認できません。

12年10月28日 追記


縫い針スタイラス


写真は縫い針スタイラスです。
縫い針スタイラスの特徴は、先端がやや細いせいか、高音がやや弱めです。
歪や針飛びには比較的強く、聴きやすい音です。先端がきれいなので、立てて使うことができます。

針金の音も表現しますと、順行はホールトーンで声に張りがあるが、癖のある反響音でかなり盤を選ぶ。
逆行は高音が力強く全体的に荒っぽい、引きずり音なども時折混じり、角度を間違えると盤が傷つく場合もあり。

竹針はうまく切ると癖が少ないナチュラルな音でよいが、切り失敗が多い。失敗した針はもごもごと訳の分からない音が出るか、音溝を2本同時になぞるので、こだまのような音が付きまとう。

12年11月追記

縫い針、針金、竹ひご、それぞれに再生は出来ますが、音溝の形にぴったりあっている訳ではありません。ですから、高音が減衰したり、荒っぽくなったりもします。これらの針はそれが魅力であります。
当初、磨耗時間を計算したりしていましたが、あまり意味がないです。
というのも、音溝に入っていさえすれば、それなりの再生ができるため、磨り減って形が少し変わっても、いいのです。
どう考えてもダイヤやサファイアよりやわらかい訳ですから、それなりに磨耗することは明白です。
磨耗してもなお音溝にラフに収まること、これが目的です。

レコード盤のダメージについては現在も検証中です。


13年4月2日  追記

市販のスタイラス

こちらは市販のスタイラスを切り離してハイブリッドピックアップの振動板に接着したものです。
市販のスタイラスは硬いので、振動力は大きく、ダンピング不足では大幅に歪、キーという引っかき音が発生、音溝を壊します。暴れないように抑えるのはなかなか難しいです。ちなみに縫い針や針金で壊したレコード盤は5~10枚程度ですが、市販のスタイラスで壊した盤は20枚以上です。どうでもいいレコードで試してからのほうが良いです。

うまく作れば情報量は格段に多い。