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2015年8月11日火曜日

ECMフォノピックアップシステムの新たな展開

Panasonic WM-61Aの製造が終了してから1年弱、在庫はかなりあるとされていたが、ふたを開けてみれば数か月で売り切れた。当方は少し多めに買っておいたのでまだ大丈夫だが、いずれは無くなる。他のECMを使うにはもう一度音響的に設計し直す必要がある。そして新たなECMを見つけたとして、それもまた何れなくなるだろう。世の中はコスト削減のニーズを受け、メカ的な制作工程を有するECMよりも、MEMSマイクに主流が移っている。MEMSとはMicro Electro Mechanical Systemsの頭文字で、半導体集積回路の技術から生まれたものである。極微小な機械構造をシリコンウエハにプリントして作成する技術だ。これにより圧力センサーやジャイロスコープなど、メカ的動きが必要なデバイスを1チップに集積可能になったわけだ。

このMEMSマイクを導入することによってECMのメカ的バラつきから解放され、フォノピックアップ本体の音に忠実になるわけで、メリットは大きい。
そして何より、今後活躍するであろう先端技術を使う事、それは私にとってスマホやタブレットを買う事ではなく、この原始的なフォノピックアップに活用する事だ、つまりハイテクとローテクの融合、テクノロジーとアートの融合であり、どちらか一方が優位に立つのではない。どちらも主張して、どちらも主体的にふるまう事が最も重要と考えている。


さて、今までのECMフォノピックアップは直径6mmのECMを使っていた。
最初から予想はしていた事ではあるが、空中の音と違い限られた空間では限られたエネルギーしか存在しない。圧力エネルギーは当然だが拡散すると弱くなる。つまり、口径の小さなマイクほど大きな信号電圧を出力可能という事。

今回買ったマイクは次の3つ

SP0103NC3-3 秋月電子

SPU0409HD5H(PB-7) 秋月電子

JL-M2417A マルツ電波




一枚目のSP0103NC3-3は第一世代MEMSマイクで直径1,9mmの振動膜を持つ。
http://akizukidenshi.com/download/sp0103nc3-3.pdf

感度はプリアンプ付で-22dB、ユニティーゲインの場合は-42dB
WM-61Aが-35dBなので、まずはそれに近いところから始めたい訳だが、-42dBでも問題ないだろうから、簡単な接続で試した。予想通り、それほど出力電圧は低くない。 SPL音圧相当で考えると振動膜が小さくなった分出力が大きくなったようだ。

そして音だが、なんとなんと、すでにWM-61Aを凌いでいる。
少し硬い音で、ドンシャリ傾向ではあるが、音響的に煮詰めていけば問題はないはず。
基板が薄いので圧力が逃げないよう、上からエポキシ系接着剤を盛り上げた。中抜け感はやや改善された。


 こちらが、SPU0409HD5H(PB-7)
http://akizukidenshi.com/download/SPU0409HD5H-PB.pdf

第3世代のMEMSマイクで直径は1,1mmの振動膜を持つ。
計算上は振動膜の面積が半分になれば、SPLは2倍になるはず。
所が面積比ほどの出力電圧は得られていない。
この機種も-42dBだが、第一世代MEMSと同じレベルだ。



JL-M2417A
http://www.marutsu.co.jp/pc/i/223429/

これはさらに小さい、ただ、分解して中を調べたが、振動膜は第3世代のようだ。
そして特徴的なのは完全なゼロハイト構造という事。
マイクの蓋、というか底というか、写真の裏側、ここはシリコンウエハーその物であり、割れやすい、扱いが難しい。ゴマ粒大の大きさのユニットに3本のリード線をはんだ付けしなければならないので難易度トップクラス。
音は、真ん中が張り出した感じで、上の2つと比べるとかなり違う。ゼロハイト構造が影響しているに違いない。ゼロハイト構造が、というよりゼロハイトにしたことによって、振動膜の内側の空間体積と外側の空間体積のバランスが変わるからだ。データシートを見ると8kHzにディップがあるが、これはマイクとして使った時のデーターなので今回の結果は無関係と思われる。

総じて、振動膜は小さければ小さいほど良いと言える。
マイクとして使ったときでも現れると思うが、フォノピックアップは圧力センサとして使っていて、さらに効果は大きい。

因みにMEMSマイクは、周波数特性がまだまだ狭い。だがこれはマイクとして使ったときの話。
電気的にf特が悪いのではなく、音響的に悪いのだろう。スマホに搭載するのを基本に設計しているから、とても薄く作ってある。だが、密閉空間ではそれは関係ない。嫌が上でも振動膜は動かされるからだ。つまり、現状のf特の悪いマイクで十分という事。
フォノピックアップのために有るようなもの、という気がしてきた。

これからの展開が楽しみである。

そうだ、これはECMを使っていないので、名称も変えるべきだろう。

MEMSフォノピックアップにしよう、そのまんまだけど。


MEMSマイクの第1世代~第4世代の画像
参照http://eetimes.jp/ee/articles/1104/01/news042.html


MEMSマイクの内部の画像(分解はしたが小さすぎて写真は取れないのでウェブ画像を拝借、機種は違います)
参照http://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1324827


追記

MEMSマイクはICなので電圧ショックでよく壊れる。
まだ扱いが慣れていない事もあって、かなりの数をすでに壊した。壊したものは、お楽しみの分解観察に回される。すべて分解した結果、第一世代も第三世代も振動膜の面積はそれほど変わらない事がわかった。1,9mmや1,0mmと書かれているが、これはチップ全体の大きさであった。そうであれば、第一世代であるSP0103NC3-3と第三世代であるSPU0409HD5H(PB-7)の出力レベルが同じであったことの説明がつく。

原因不明のノイズに悩まされているので、あれこれいじっている。まだまだ壊すだろうから、ある程度まとめ買いした方がよさそうだ。

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