お知らせ

「峨駒の古典的スピーカーの調べ」は”木下惠介記念館”で行っております。
イベントのお知らせはこちらのページです。古典的スピーカー+墨汁抵抗+ECMフォノピックアップ

当ブログは作者「峨駒」のオーディオ技術メモです。
主な内容

HB-PU(ハイブリッド・ピックアップ)の試聴は以下の場所でお願いします。

2013年12月19日木曜日

ECMフォノピックアップ、ステレオ化その1

モノラルピックアップは一休み、ステレオ再生に挑戦です。

 このように、ECMを2つ使う。

 3作目
 2作目
 前から見るとこんな感じ。45度に1mm径の穴が通っています。
 ルーペで振動系を撮影。ピンボケでよく分からないと思いますが、カンチレバー、ステレオリンク、とも竹ひごです。真ん中(T字の接合部)の透明な物体が、サファイアスタイラスです。Tの両端を左右の穴に納め隙間はシリコン充填剤で密閉、同時に振動系をダンプ。
こちらは、1作目のワイヤーリンク。(リンク、カンチレバーとも0,08mmのワイヤー)チャンネルセパレーションは抜群ですが、音が痩せる。針金っぽい、ギンギンする、キラキラする、と表現しましょうか。金管楽器は突き抜けてます。疲れます。

竹ひごリンクが今のところ一番良いです。
ところで、ちゃんとステレオ再生できているのか?
ですが、まず、スピーカーを逆相でつながなくてはなりません。正相で聴くと鼓膜を左右ばらばらに押されている感じで気持ちが悪くなります。
片チャンネルが逆相になるのは当初から分かっていました。むしろ同相だとステレオ再生は出来ないということになりますので困ります。
いずれトランスでも挟んで位相を反転しようと思っています。

さて、はっきり右左が分かれているレコードをと。。。オーディオ評価盤?シェエラザードで左からバイオリン、右からハープと書いてある。。。うん、ちゃんと分かれて聴こえる。
ステレオ音場はちょっと狭いかな?最近ステレオ再生していなかったので、なんともいえません。
2階席で聴いていると思えば問題ないでしょう。

1作目、2作目は(SG6027)ノーマル接続で3作目は(WM-61A)ソースフォロワです。
WM-61Aのソースフォロワは音が良いと巷でうわさですが、強制的に振動させられるハイブリッドピックアップでは、音の違いはそれほど出ません。しかし、感度のばらつきの対策として、また許容入力音圧の観点からもソースフォロワは便利です。

ECMフォノピックアップはECMの膜にSPL100dB音圧相当の圧力が掛かります。
そのためノーマル接続ではクリップしやすいのです。


2013年8月3日土曜日

ECMフォノピックアップのシャフトとキックバネ



ただいまシャフトとキックバネの最適化に取り組んでいます。
シャフトとキックバネの直径、素材、物理強度によって音が変わることは以前から気づいていました。
しかし、0,3mm以下の線は普通には売っていないので、銅線や真鍮線などの柔らかい素材を使って物理強度を下げる方法をとっていました。

しかし今回ワイヤーロープの素線を使うことを思いつきました。

左から1,0mm、1,2mm、1,5mm、2,0mm、2,5mm

7本×7本よりなので、9で割ると素線の直径です。


素線は縒った状態で熱処理してあるので真っ直ぐに伸ばすには再び熱処理が必要です。
左は熱処理を終えたもの、右は未処理。

熱処理は電流を流して電熱線のように赤くするのがベストだと思いますが、適当な電源が無いのでコントロールできないため、ガスコンロで決行しました。
コツをつかめば問題なく出来ます。とても細いので局部的に熱が入りすぎないよう注意することです。

まずまずの音で鳴っていますし、実験は成功といっていいでしょう。ワイヤーの素線が使えると分かれば、今後はちょうど良い直径のシャフトを探すのに苦労しなくてすむので、大収穫といえます。

2013年7月29日月曜日

ECMフォノピックアップ、密閉用グリス





恐らくこれ以上は小さく出来ないでしょう。

スタイラスの大きさに制限があるので、これ以上小さくしても全体のバランスが崩れると思います。
スタイラスはロネット針から外したもので、サファイアの無垢の針です。昔のロネット針は感知レバーがブリキの板でスタイラスもただカシメてあるだけなので容易に外せます。
大きさは直径が0,3mm、長さは0,7mm程度でしょうか、鉛筆のような形状で垂直も確認しやすく、接着もしっかり出来ます。
最近のものは接合針で外しにくい上、チップだけ外しても小さすぎて接着できません。


空気室の容積は1,5mm径の4mm程度の円筒形の穴で7立方mm位でしょうか。
こんなに小さい空気室を作るくらいなら、振動膜と直結させたらどうだ?と思うかもしれませんが、それは技術的に困難。
という理由もありますが、もうひとつ重要なことは空気室はどんなに小さくても「音響的味わいを作る」という理由があります。

あくまでも空気力学的音響イコライジングにこだわりたいと思います。

密閉用グリスが最近非常に問題になっております。
というのも、密閉用グリスと呼んでいますが、他にも重大な仕事をこのグリスに任せています。
このグリスが行う仕事は空気室も密閉、振動板のダンピング、受け軸の潤滑の3つです。

音もやはりこのグリスに大きく依存していて、時間とともにちょう度が変わり音が変化してしまうのです。


2013年6月20日木曜日

ECMフォノピックアップ(自作カートリッジ)

振動板も小さくなり、コンプライアンスもかなり高くなってきました。

振動板の大きさは約2ミリです。
銅箔テープをカットして、スタイラスとピアノ線を配置、仮止め、瞬間接着剤で固定。
以外に確り固定できます。演奏中脱落したことは一度もありません。
ピアノ線はライターであぶっておいて煤をつけておくと剥がすときに便利です。
ピアノ線を抜き取ると、極小の軸受けの完成です。



サブウェイト追加しました。
針圧調整が楽になりました。



写真は針圧計です。
1円玉の重さ=1g
50円玉の重さ=4g
ですので、1円玉3枚、50円玉2枚で1gから11gまで計れます。
支点が重心よりも下なので吊り合っていても最終的にどちらかに傾きますから、市販のもののようにピタリと針圧設定は出来ませんが、私にはこれで十分です。

2013年4月7日日曜日

新しい木製トーンアーム



ヒノキの棒、2,5メートル。
この細さで20年物です。これをトーンアームに使おうと言うわけです。
今のリスニングルームですと大部分を占めてしまうので、大変邪魔です。

トーンアームを考えるとき、アームヘッドの慣性質量を先ず考えると思いますが、重量と長さは音質と比例しないことは以前から感じていました。
具体的にいうと、重くて短いアームと軽くて長いアームでは後者のほうが音楽性が豊かだと思うのです。
カウンターウェイトも同じで、支点から近いところに重いウェイトを背負うのと、支点から遠いところに軽いウェイトを背負うのでは、後者に軍配が上がります。

とはいえ、2,5メートルのアームは実現するかどうか、部屋に置けるかどうか?

4月25日





土台は一番簡単な方法でバラック作り
ウエイトは積み込む方式じゃなく、縛ってぶら下げ
中世の投石器のよう。
フックで吊り下げ支持。
全長2,5メートル、支点から針先まで2メートル。

このアーム、とりわけ解像度が高いと言う訳でもないし、派手でもなく地味でもない。どう言えばよいか分かりませんが、音楽的な表現力が優れています。

ただ、長さが限界に近づいています。反りのある盤は不安定で、特にピョコン、ピョコンと跳ねたり、カクン、カクンと落ちるタイプの反りに対応しきれません。フワン、フワンと緩やかな反りにはかなり反応出来ています。

レコードの内周でビブラートのように聴こえる現象が起こります。
どうやら支点の弱さに原因があるようです。原因が分かった時点でもはや解決したも同然、これだけの質量と長さを持つアームですから支点の強度は重要なポイントです。支持方式は音質に直結していますので、焦らずゆっくり調理しましょう。

4月30日




なんとか収まりましたが、6畳の部屋の端から端まであります。
ビブラートが起きる問題は、支点の強度不足ということで、先ずは8ミリ径の全ねじをスパイクに加工した受けです。これによりほぼ解消されましたが、オーボエのように均一な波形の音を聴くとまだ若干ビブラートしていることに気付きます。
土台全体の質量が不足している可能性がありますので、今度はターンテーブルの土台くらいの太い木で作ってみようと思います。ターンテーブルの土台は犬槙で樹齢は100年くらいは経っているでしょうね。硬い材質です。10年間は寝かして乾燥しました。

2013年5月6日




土台をがっちりしたものに変えてみました。
材は柳です。真っ白くてきれいですね。ニードルはアンカーでがっちり受け、足はTAOC

2014年5月2日

音がビブラートする原因はどうやらプラッター受け軸の強度不足のようです。
プラッター受け軸を強化するか、もう少しアームを小さくするかだが、レコードへの負担を検証した結果アームを小さくする方を選びました。

2013年3月26日火曜日

ECMフォノピックアップ、サスペンションカンチレバーの色々


回転ヘッドシェル+トレーリングアームサスペンションカンチレバー





フローティングジョイント+サスペンション無しバタフライバルブ

フローティングジョイント+トレーリングサスカンチレバー


一長一短がありますが、サスなしでがっちり固定したほうがモノラルLPは良い音です。
中音域が前に出て熱っぽい再生。ノイズは少なくて線が細くならない。ただしステレオLPは再生できません。中音域の押し出し、密度感は圧倒的です。

サス付きは方式にも因りますが、どうしても中音域がキャンセルされて、細くなり、モノラルLPはノイズが目立ちます。こちらはステレオLPも再生出来ます。(モノラル再生)
ステレオ盤はワイドレンジでハイファイな音、低域寄りな印象。小さいコンデンサでは全体が痩せて安っぽい印象です。



2013年4月2日

トレーリングアームサス+紙アーチダンパー



サス無し ジョイント無しバタフライバルブ


トレーリングサスと紙アーチダンパーの相性は良いです。
中音域が抜ける問題は解消されました。やわらかい音です。でも情報量は多い。無難な音という感じもします。

サス無し、ジョイント無しは圧倒的にパワフルな音です。ただし、時々盛大に歪む場合があり、大変不安定です。

2013年4月16日

サス無しが現状最も良い音です。
実験で使っているスピーカーはF77G98-6という安物で、弱い音しか出ませんが、サス無しで鳴らすとコンプレッションドライバーのように力強い音が出ます。
サス付きはどうしても詰めの甘い音になります。高域が荒れていていわゆるサ行が耳に付き、中低域のモヤモヤ感もあり、まだまだでしょう。
サスでやわらかくして、受け止めきれない大振幅やステレオ成分を吸収するということなので、基本的にサス付きはインチキです。
やっぱり、レコードにある振幅は吸収せずにすべて受け止める、これが正攻法でしょう。

サス付きはあきらめて新たな発想が必要でしょうね。

2013年3月15日金曜日

ECMフォノピックアップ(自作カートリッジ)概要と履歴

ECMフォノピックアップの概要と履歴(2015年より「MEMSフォノピックアップ」に進化)


思えば今まで、いろいろなパターンを製作しました。そこで今まで作ったピックアップを振り返り、このページをECMフォノピックアップの入り口にしたいと思います。

概要

ECMフォノピックアップとは、スタイラスが作り出した振動で空気を動かし、圧縮してエレクトレットコンデンサマイク(以下ECMと表記)に送り込む装置です。


こちらは過去に制作したモノラルピックアップです。

2012年8月製作

最も初期の振動膜式のピックアップです。
ただ単にECMカプセルにキャップのようにかぶせて使うもので、とても単純な構造です。
単純ですが、なかなか面白い音がして、いうなれば電気サウンドボックスです。音も蓄音機の張りのある中音域そのもので、極端に狭い音域、ピーク感があり兎に角面白い音でした。
この音の面白さに驚いて、その後ECMを使ったフォノピックアップを数多く作ることになります。これはECMフォノピックアップの原点です。


初期、振動膜式ピックアップ



2012年10月製作

市販の針(ロネット針)を使う前は、針金や縫い針、竹ひごやサボテンの棘などを使っていました。
SPレコードにちょうど良いですが、LPでもある程度再生できます。
針圧は3グラム程度で、極端に鋭角なものや硬いものを押し付けなければ、それほどレコードへのダメージも無いと思います。
スタイラス自体の角度と、カンチレバーの角度も重要で、これらが不完全だと一発でレコードを壊します。
やわらかい素材であれば角度が少し違っていても、力が逃げて大事には至りませんので、最初からダイヤの針はおすすめ出来ません。
ただ振動の力も逃げてしまうので、音圧は半分くらいになりますし、かなりハイは落ちます。

ナローレンジ、ふわっと軽い音、意外にボーカルは確り、骨太な感じです。

針金、縫い針、竹ひごスタイラスのピックアップ



2013年1月製作

ロネット針(サファイアスタイラス)を使い、シャフトを中心にバタフライバルブのような動きをする振動板で、キックバネによりセンターを保持します。グリスまたは粘度の高いオイルで密閉して、それ自体にダンピングファクターを持たせています。
さらに縦振動もそれなりに吸収できるようにサスペンションを設けステレオ成分を吸収する仕組になっています。
ステレオ成分の吸収とはどういう意味かというと、ステレオ盤は斜めに振幅を記録するため横にしか動かない構造のピックアップでステレオ盤を聴くと、無理が生じ大きく歪みます。
これを解消するための機構で、これによりステレオ盤もモノラル再生ですが歪まず聴くことが出来ます。
ダイヤモンドスタイラス、バタフライバルブの機構を持つピックアップ






今まで使ったECMカプセル


[SG6027]

[WM-61A] 

[C9767BB422LFP]

[KUC3523-040245]

[KUB6123](両指向性)

[WM-65A103](単一指向性)


そして、2013年の12月

ついにECMフォノピックアップはステレオ化されました。



初期のステレオピックアップ

このころのピックアップと大枠では変わっていません。



中期のステレオピックアップ
(2014年4月)
鎖リンクと命名したものです。


紙のカンチレバー

逆向きカンチレバー(レコードが回転する力でカンチレバーが押し付けられ、支点を形成する)


さらに2015年8月

ECMを卒業してMEMSマイクを使ったMEMSフォノピックアップに移行。
ECMのようにメカ的なバラつきがなく、音響的な味付けもないのがかえって好都合です。


MEMSフォノピックアップ


2016年1月

作業用実態顕微鏡購入により、さらに細かい仕事が出来るようになりました。

そしてとうとう接合針をダイヤとシャンクに分離して、ダイヤのみを接着することに成功。
これによりMEMSフォノピックアップはさらに鋭い立ち上がりのカートリッジに進化しました。



上の写真はスタイラス全体を使ったもの。
下はダイヤのみを分離して接着したもの。


MEMSフォノピックアップはまだまだ進化を続けます。

2016年2月13日